HSPの恋愛

繊細で感受性が強い人を表す言葉として一般にも広まりつつある「HSP」。ここではHSPの方の特徴や恋愛で気を付けたい点、HSPの方と交際する際に心掛けたいことなどをまとめています。

そもそもHSPとは

HSPは「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の頭文字をとった略語です。ハイリー・センシティブ・パーソンは直訳すると「とても繊細な人」。もともとは1996年にエレイン・アーロン博士が提唱した気質です。音や光、周りの人の変化などに非常に敏感に反応します。
気を付けたいのはHSPが病気や疾患ではないという点。HSPはあくまで気質(性格)であることを押さえておきましょう。

また、HSPは言葉として一般化し過ぎたために学術的な研究領野では「環境感受性(Environmental sensitivity)」といった表現が使われることが多いようです。

HSPの定義

現在、HSPに厳密な定義はされていません。
「HSP」という言葉を発明したエレイン・アーロン博士自身は下記の4項目すべてにあてはまるのがHSPだと定義していますが、後の研究で見直されている状況です。

  • ものごとを深く考える
  • 刺激を受けやすい
  • 感情の面で反応しやすく共感しやすい
  • かすかな刺激に対する感受性が強い

アーロン博士は「人口のおよそ5人に1人がHSPである」としています。しかし、定義が時代によって変遷しているので、比率は厳密なものではありません。

ひとまず、本人が「自分はHSPだ」と自認していればそれを受け入れておくのが妥当です。

恋愛におけるHSPの特徴

HSPの精神的な傾向のうち、恋愛に関わる部分を見ていきましょう。

相手に共感しやすい

HSPの方は他者の表情や声色、雰囲気などから感情・思考を読み取るのがとても得意です。一方で、相手のことが直感的に分かってしまうがために、他者に影響されやすい面もあります。

恋愛ではHSPの方が相手の気分に振り回されてしまう場面が増えがちです。

スリリングな恋愛は好まない

繊細な感受性を持つHSPの方にとって、スリリングな恋愛の刺激は「過剰なもの」と感じられます。基本的には安定した関係性を求めるのがHSPの特徴です。

また、関係性が安定していても、恋愛の相手があまりに感情の起伏が多かったり、予想外の行動を取りやすい人だったりすると、HSPの方は気疲れしてしまいます。

静かで落ち着いた環境を好む

HSPはとても鋭い感覚を持っており、音や光、味、においなど、さまざまな刺激に無意識に反応してしまいます。HSPでない方にとっては何でもない環境でも、HSPの方にとってはたえられない「刺激の激流」に思えることもしばしば。当然、デートの行き先や同性する住環境においても、静かで落ち着いた、刺激の少ないところが好まれます。

HSP当事者が恋愛で気を付けたい点

恋愛関係はそれだけで刺激が多いもの。気をつけておかないと、HSPの方は交際の過程で疲れ切ってしまい「もう恋愛なんてしたくない…」と思ってしまうかもしれません。
HSP当事者の方が恋愛する際に気を付けたい点をまとめました。

相手にHSPを理解してもらう

まずは交際する相手(もしくは交際する予定の相手)に、自分がHSPだということを伝え、HSPについて知ってもらうのが大切です。

HSPは病気・疾患でないため、その辛さや苦しさを他者に理解してもらうまでには時間がかかります。しかし、早いうちに相手に理解しておいてもらわないと、「これくらいなら大丈夫でしょう」「HSPを言い訳にしている」などと思われて、気持ちがすれ違う原因になってしまうかもしれません。

恋愛では相互理解が不可欠。HSPについても早めに伝え、理解してもらいましょう。

相手との距離感を適切にコントロールする

恋愛の相手が感情豊かな人の場合、HSPの方は2人で一緒にいるだけで疲れてしまいがち。相手から受ける刺激が自分の許容範囲を超えないよう、距離感を自覚的にコントロールするのが重要です。

可能であれば、落ち着いた性格の人のなかから恋愛対象を選びたいものですが、好きになるかどうかは決められるものでもありません。刺激的な人を好きになってしまったHSPの方は、相手との距離を調節することで自分の気疲れを軽減しましょう。それが結果的に2人の関係継続につながります。

あらかじめ「ときどきは1人の時間を作りたい」と伝えておくのもおすすめです。

自分の気質を踏まえて予定を立てる

HSPの気質は、デートの行き先や同棲する際の住環境などを限定します。反対に言えば、HSPの方は優柔不断にならずに意思決定できるということ。

デートの約束をはじめとする短期の予定から、同棲・結婚後の生活を視野に入れた長期の予定まで、HSPの方が積極的にイニシアチブを持つようにするのがポイントです。

HSPの方と恋愛する際の心がまえ

そうでない人からすると信じられないほど刺激に敏感なHSP。そんなHSPの方と付き合う際には、非HSPの方も相手の感性に配慮してあげるのが交際を長続きさせる秘けつです。
HSPの方と付き合うさいの心がまえを紹介します。

HSPについての理解を深める

なによりもHSPの性質・特質について理解を深めるのが大切です。多くの人は自分と同じように他者も世界を見ていると思いがち。ですが、鋭い感受性を持つHSPの方は、一般の方とは異なる世界に生きていると言っても過言ではありません。

自分と違う感性・思考を持つ人と付き合う時には、「相手がどう感じているのか」を考える想像力が不可欠。そして、想像力を働かせるにはその相手についての知識が必要です。
まず知識としてHSPを理解しておかないと、「HSPを言い訳にしている」「HSPでもこのくらいの刺激なら平気だろう」など、相手を傷つける誤解をしてしまいます。

最近は「HSP」という言葉がブームのように使われていることもあり、その情報も玉石混淆の状態です。なるべく信頼のおける研究者が発信している情報をもとに、HSPについて学びましょう。

相手の意見を尊重する

「HSP」とひとことで言っても、多様な方々がいます。本やウェブで身に着けたHSPについての知識と食い違う意見を述べるHSP当事者の方と出会う可能性もあるでしょう。

そんな時は、「相手の生の声を尊重する」ことを意識してください。「あなたはHSPではない」「HSPでもこれくらいは大丈夫」など、自分のものさしを押し付けるような対応はNGです。

HSPの感性は敏感です。表面的な言葉をとりつくろっても、表情や声のトーンからあなたの気持ちを読み取ります。心から相手の存在を受け入れ、意見を尊重しましょう。

HSPの方同士で恋愛する場合

交際する2人がどちらもHSPであるケースもあります。その場合、相手の感性や気持ちが互いに深くわかるため、HSPの方と非HSPの方が付き合うときのようなすれ違いは起きにくいでしょう。
ただし、お互いのことがわかる分、不要に気をつかい過ぎたり距離を取り過ぎたりといったリスクも考えられます。

HSPの方同士が恋愛する際には、相手への配慮を持ちつつ、時にお互いの内面に深く踏み込む勇気も大切です。

HSPの繊細な感受性は「臆病」とは異なります。自分がどうしたいのかを示し、同時に相手の希望も読み取りながら、最善の道を見つけてくださいね。

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