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ADHDの特性とは
ADHD(注意欠如・多動性障害)は、発達障害のうち「集中力が無い・じっとしていられない・衝動的に行動してしまう」といった特性を持っていることを指します。
3つの特性を平均的に持っている人もいれば、集中力が無い(注意欠如)の特徴が強く出ている人もいて、その特性の現れ方は人それぞれです。そのため、発達障害ではなくその人の個性や性格に起因するとされてきた時代が長く続いていました。
ADHDの詳しい原因はまだ解明されていませんが、脳の働きが偏っているためとされています。つまり、本人の後天的に形成された「性格」ではなく、生まれ持った特性なのです。特性が強く出すぎることで、社会生活がままならないこともあります。そんな時は服薬や認知行動療法などで緩和できます。
そんなADHDの特性を持つ人たちの恋愛事情について調べてみました。
ADHDの恋愛は困りごとが多い傾向にある
注意欠如や多動性などの特徴により、コミュニケーションの面でのハードルが高いケースがあります。そのため、密な関係を築く恋愛においては、なかなか上手くいかないと感じているADHDの方も。また、パートナーがADHD傾向にある場合も同様に、気持ちが上手く伝わらないと感じる場合もあります。
お互いの性格や生い立ちに問題があると考えてしまうことで、相手の言動の理解に消極的になったり、イライラをぶつけてしまったりと、解決策を見つけることが難しくなっていくカップルもいます。
知識があればお互いの理解もしやすくなる
本人はもちろん、パートナーや周りのADHDにかんする理解度によって困りごとの深さも異なってきます。自分やパートナーがADHDかもしれないと感じたときは、一度診断を受けてみても良いでしょう。
漠然と「そうかもしれない」という不安を抱えたままでいると、どうしてもネガティブな感情が増えていきます。体にとっても良くないですし、二人の関係にも影響が出てきてしまう可能性もあります。上手くいかない理由が分かることで、見えてくるものもあります。
ADHDの特性についても理解しておくと、伝え方や行動に工夫できるようになります。せっかく出会えたのですから、良い関係を続けていけるようになるといいですね。
ADHD 注意欠如さんの恋愛で困るポイント
記念日やデートの約束を忘れてしまう
不注意や集中力が低いという特性がある注意欠如タイプの方は、恋人との記念日やデートの約束を忘れてしまうことがあります。大事なことだと分かっていても、です。
約束を忘れる理由には、仕事などの事情でついうっかりという場合もあります。しかし、悪気が無いのに何回も繰り返してしまう場合はADHDかもしれません。本人も忘れたいとは思っていないのに覚えていられないのです。
そんな時は、スマートフォンのリマインダー機能やToDo機能などを使い、予定を知らせてくれるようにしておくといいでしょう。自分やパートナーが絶対目にする場所にメモを貼っておくのも1つの手です。「忘れてしまったこと」に対してではなく、「どうすれば忘れないか」を話し合ってみましょう。
恋人との会話やLINEのやり取りに集中できない
集中力が続かないため、会話の途中で飽きてしまったりLINEのやり取りの途中で返信をしなくなってしまったりといったことがあります。また、話しているのに違う話題に飛んでしまうといったケースも。
これは、会話自体に飽きてしまう場合もありますが、会話以外の気になることが目や耳から入ってきても起こります。例えば、外出先のカフェで雑談しているときに、鮮やかな服の色が目に張ったとたんに集中がそちらに向いてしまう、物音に集中を遮られてしまうなどです。
注意欠如さんの場合は、そうした「周りからの干渉」が少ない場所で会話を楽しむようにするのが良いと言われています。また、短く時間を区切ってその間は会話ややり取りに集中する方法もあります。
多動さんの恋愛で困るポイント
自分の気持ちが止まらない!つい話しすぎてしまう
衝動的な発言や行動が特徴の1つの多動障害さんは、会話中につい自分の話したいことばかり話してしまうことがあります。伝えたい・知って欲しいという気持ちから、言葉が止まらなくなってしまうのです。
話しすぎてしまっているかは、自分ではなかなか気づきにくいもの。そのため、パートナーと合図を決めておくといいでしょう。合い言葉でもいいですし、しぐさでもOKです。
衝動的な行動で振り回してしまう
多動さんは、気持ちに勢いが付くと止められないケースがあります。例えば、高価な買い物やその場限りの体の関係など、衝動の向く先は人それぞれです。
例えば、お金をためて一緒に旅行に行こう!と約束していたのに衝動が押さえきれずにお金を使ってしまう、パートナーがいるのに別の人と関係を持ってしまうなど、といった行動があります。パートナーを傷つけたくないのに、衝動が押さえられないと落ち込んでしまう人も少なくありません。
こうした衝動を抑えるには、日々の練習が必要です。また、お薬を使ってバランスをとることもできます。
ADHDの特性をポジティブに考えてみよう
注意欠如や多動性障害と言われると、良くないもののように感じてしまうかもしれません。「欠如」と聞いて良いイメージはなかなかできないでしょう。
ですが、そうした言葉のイメージに囚われてしまわずに、良いイメージに捉えなおしてみませんか。
挑戦を恐れずに進める
何か新しいことを始めるときに、先のことを考えすぎて行動できないことがありますよね。ですが、熱い気持ちのまま走り出せるのがADHDの特徴です。誰も手を上げないような状況でも、興味のあることならためらわずに行動します。恋愛でも、熱く真っ直ぐな気持ちを伝えてくれるでしょう。
興味のあることに一途
ADHDの特徴として、興味関心のあることに没頭するというものがあります。あまりに長く集中してしまう(過集中)ことがあるのでバランスは大事なのですが、それだけ一途に思ってくれるとも言えるでしょう。同じ趣味を持っているカップルなら、一緒に楽しい時間を過ごせるかもしれません。
独創的なアイデアを持っている
行動的で興味のあることに一途なため、独自のアイデアや視点を持っていることがあります。物事の見方や考え方などの違いから、周りに刺激を与えている存在です。付き合っている中でも、お互いの考え方を深く知っていくことで、世界観が広がるでしょう。
ADHDの恋愛が上手くいくための考え方とは
本人がADHD・パートナーがADHDのどちらの場合でも、大切なのはお互いについて理解を深めていくことです。注意欠如や多動性といった特性がどのように現れているかを知ることで、対策をとりやすくなります。
また、無理をして自分たちだけで何とかしようとせずに、カウンセリングやお薬の力に頼ってもいいのです。ADHDは個性の1つとは言われていますし、良い面もあります。しかし、その特性のために悩み続けているのなら、いろいろな力を借りましょう。
過去に比べてADHDをはじめとする発達障害の認知度は上がってきています。しかし、自分やパートナーがそうかもしれない、と気づけるかどうかはまた別です。
恋愛や仕事が「いつも同じ理由で上手くいかない」と思ったときは、ADHDなど発達障害の特性が現れているかもしれません。心が弱いだけ・性格のせいだ、と責めるのではなく対処できる可能性を探ってみてはいかがでしょうか。
恋愛は、相手への理解と愛情を深め広げていくこととも言えます。同じように、自分自身への理解や愛情も深めていければ、パートナーともより良い関係を築けます。自分のペースとパートナーのペースを大事にして、恋愛を楽しみましょう。